特例子会社とは?発達障害のある人が知っておきたい働き方の選択肢

「障害者雇用」は知っていても、「特例子会社」が何なのかはよく分からないという人は多いと思います。この記事では、特例子会社の仕組みと一般の障害者雇用枠との違い、発達障害のある人が働く場として検討する際に知っておきたいポイントを編集部が整理しました。


特例子会社とは何か

特例子会社は、障害のある人の雇用を促進するために、親会社が特別に設立する子会社です。障害者雇用促進法に基づく制度で、1987年の法改正で法定化されました1。

なぜ「子会社」という形なのか

障害者雇用率制度では、本来は個々の企業ごとに雇用率の達成が義務付けられています。しかし一定の要件を満たして厚生労働大臣の認定を受けた子会社であれば、その子会社で雇用する障害者を親会社やグループ全体の雇用としてみなして計算できる特例が設けられています1。これが「特例子会社」と呼ばれる理由です。2002年からはグループ全体での適用も可能になり、設立数が増えてきました1。厚生労働省の調査によると、2024年6月1日時点で全国に614社の特例子会社があります1。

認定を受けるための主な要件

特例子会社として認定を受けるには、障害のある人を5人以上、かつ全従業員の20%以上の割合で雇用していることなどの要件を満たす必要があります1。要件は法律の改正によって変わることがあるため、最新の基準は厚生労働省の公表情報で確認することをおすすめします。

対象になるには障害者手帳が必要

特例子会社の求人に応募するには、一般の障害者雇用枠と同様に、原則として障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)が必要です。診断は受けているが手帳を取得していない、いわゆるグレーゾーンの場合は、応募が難しいケースがほとんどです。手帳を取得するかどうかで迷っている場合は、障害者手帳のメリットと取得手順を参考にしてください。


発達障害がある人が特例子会社を選ぶメリット

配慮が会社全体に浸透している

一般企業の障害者雇用枠では、配慮の内容が部署や上司によって差が出ることがあります。一方、特例子会社は障害のある人の雇用を前提に会社全体が設計されているため、業務の切り出し方や指示の出し方など、特性への配慮が組織的に浸透している傾向があります。発達障害や知的障害など特定の障害に特化した労働環境を整えている特例子会社もあります2。

同じ特性を持つ同僚が多く孤立しにくい

従業員の20%以上が障害のある人という要件があるため、職場に同じような特性を持つ同僚が一定数いる環境になりやすい点も特徴です。「自分の特性を理解してもらいにくい」という孤立感を抱えにくいと感じる人もいます。

雇用の安定が見込みやすい

特例子会社の多くは大手企業のグループ会社として運営されており、経営基盤が比較的安定している傾向があります2。自分の障害に関する情報を会社側が把握したうえで採用しているため、体調面の相談や配慮の申し出がしやすいという声もあります。


特例子会社を選ぶ際の注意点・デメリット

求人数が少なく地域に偏りがある

2024年時点で全国614社という数は、企業全体の数から見ればごくわずかです。特例子会社は関東圏に集中している傾向があり2、地域によっては求人自体が見つかりにくい場合があります。転職活動を始める前に、自分の希望する地域にどの程度求人があるかを確認しておくと見通しを立てやすくなります。

業務内容が定型的になりやすい

特例子会社の仕事は、データ入力・清掃・軽作業・事務補助など、切り出しやすい定型業務が中心になりやすい傾向があります。専門スキルを伸ばしたい、キャリアアップを重視したいという人にとっては、業務の幅が物足りなく感じられる場合があります。

収入面で差が出ることがある

調査によれば、特例子会社で働く障害者の約8割が年収250万円以下という結果もあります2。一般雇用や一般企業の障害者雇用枠と比べて、給与水準が低めになる傾向がある点は事前に把握しておく必要があります。「配慮を受けながら働く」ことと「収入を優先する」ことのどちらを重視するか、自分の状況に合わせて整理しておくとよいでしょう。


特例子会社と一般企業の障害者雇用枠の違い

同じ「障害者雇用」でも、特例子会社と一般企業の障害者雇用枠では傾向が異なります。あくまで目安ですが、比較の視点として参考にしてください。

比較項目特例子会社一般企業の障害者雇用枠
配慮の浸透度会社全体で前提化されている部署・上司によって差が出やすい
同僚の特性障害のある同僚が多い障害のある社員は少数派になりやすい
業務内容定型業務が中心になりやすい職種の幅は比較的広い
求人数少なく地域偏在あり特例子会社より選択肢が多い
収入水準低めの傾向企業により差があるが比較的高め

どちらが優れているという話ではなく、「配慮の受けやすさ」と「業務の幅・収入」のどちらを優先したいかによって、向いている選択肢が変わってきます。一般企業の障害者雇用枠についてさらに詳しく知りたい場合は、障害者雇用とは?一般雇用との違いと発達障害のある人の選び方を参考にしてください。


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自分に合うか迷ったときの考え方

特例子会社と一般の障害者雇用枠、どちらが正解ということはありません。「配慮を最優先したいか」「業務の幅やキャリアアップを重視したいか」「今住んでいる地域に求人があるか」を軸に考えると、自分に合う方向が見えやすくなります。

いきなり転職活動を始めるのが不安な場合は、就労移行支援を利用して生活リズムや働き方を整えてから動く方法もあります。事業所の選び方は就労移行支援事業所の選び方と比較にまとめています。求人の探し方や比較を進めたい場合は、発達障害向け転職エージェントおすすめ比較も参考にしてください。


それでも難しい時は

「特例子会社が向いているのか、一般の障害者雇用枠がいいのか」を自分一人で判断するのは簡単ではありません。特性の伝え方や、どの働き方が自分に合うかを一緒に整理してくれる専門のエージェントを頼る方法もあります。

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今日からやるならこの3つ

  1. 障害者手帳の状況を確認する:特例子会社への応募には原則手帳が必要です。取得しているか、取得を検討できる状況かを整理しましょう。
  2. 自分の地域の求人状況を調べてみる:特例子会社は地域偏在があるため、まず求人の有無を確認すると見通しが立てやすくなります。
  3. 配慮と収入・キャリアの優先度を整理する:どちらを優先したいかで、特例子会社と一般の障害者雇用枠のどちらが合うかが見えてきます。

まとめ

  • 特例子会社は、障害のある人の雇用に特別な配慮をした子会社で、厚生労働大臣の認定を受けた企業(2024年6月時点で614社)が対象
  • 配慮の浸透度や同僚の特性面でメリットがある一方、求人数の少なさ・業務内容の定型化・収入面では注意点もある
  • 「配慮」と「業務の幅・収入」のどちらを優先したいかを整理し、一般の障害者雇用枠とあわせて比較しながら自分に合う働き方を選ぶことが大切です

※本記事の認定要件・企業数・給与傾向に関する情報は、公表されている調査・制度資料をもとに整理したものです。最新の基準や実態は変わることがあるため、厚生労働省の公表情報や各企業の募集要項で必ずご確認ください。本記事の一部リンクはアフィリエイトプログラムを利用しています。

Footnotes

  1. 厚生労働省「特例子会社制度の概要」(2024年6月1日時点) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  2. 各就労移行支援事業者・障害者雇用支援サービスの公開情報をもとに整理 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

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この記事を書いた人:セナ

SESインフラエンジニアとして働きながら、未診断のグレーゾーンとして発達特性と向き合ってきた経験をもとに本メディアを運営。公的機関の情報をもとに、当事者視点で記事を編集しています。

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